岩手医科大学歯学部同窓会 学術研修会のご案内

第63回学術研修会のご案内




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時 間: 9:50ー15:30
   (10:00ー12:00 午前の部、12:15ー13:00 ランチョンセミナー、13:15ー13:15 午後の部)
会 場:岩手県歯科医師会館8020プラザ5階
参加費:(昼食代含む)歯科医師8,000円 学内歯科医師4,000円 コデンタルスタッフ2,000円(歯科医師は除く)




■午前・午後の部

  水上 哲也(みずかみ てつや) 先生
  九州大学歯学部 臨床教授
福岡県福津市 開業
     


歯周組織再生療法の今
 --「この歯は何故悪くなったのか、そしてどのように治してゆくべきか」


   歯周治療の目標は天然歯列を生涯にわたり維持することである。
そのため私たちは日常臨床において歯周病に罹患した歯の歯周病学的パラメーターの改善を行い、適切な咬合機能が得られた状態で長期にわたりメインテナンスしてゆくことが求められる。
   治療において大切なことは全体像の把握と局所の把握を合わせて行うことである。具体的には患者単位の診断、一口腔単位での診断、そして患歯における診断がこれに相当する。一口腔単位でのリスク因子には歯列不正、プラークコントロール、バイオフィルムの質、パラファンクションなどの過度の咬合性因子などがあげられる。感染により歯周病が進行した状況下ではパラファンクションなどの過度の咬合和性の因子は病変をエスカレートさせる可能性がある。近年、進行した歯周病罹患歯に対する外科的治療として歯周組織再生療法が選択される機会が増えてきたが外科処置を選択する前程として適切な病態の診断や個々の患者におけるリスク因子の評価に加えて的確な歯周基本治療が重要であることは言うまでもない。これらの初期の基本的な治療過程を経て歯周外科処置は選択実行される。
   次に、歯周組織再生療法を成功に導くためにさまざまな要素があるが、なかでも適切な要素としてフラップデザインの選択について説明したい。
   1980年代な半ばに温存型のフラップデザインの原形とも言える口蓋からの切開デザインがEvianによって提唱され、このデザインは歯間乳頭を温存するためのフラップデザインとして Papilla Preservation Technique がTakei,Hanにより発展して永く歯周組織再生療法に適したフラップデザインとして用いられている。しかしながら近年、より侵襲度の低いミニマル型のフラップがHarrelやCortellini,Tonettiらにより提唱され多くの臨床医に用いられるようになってきた。これらこれらの従来型、即ちコンベンショナルなフラップデザインとミニマルなフラップデザインの違いは単にフラップの大きさの違いというよりもコンセプトの違いが大きいと感じている。
   今回の講演では先ずは全体的像としての歯周病のリスク因子の整理と悪化する要因についての考察、そして咬合性因子の改善と治療目標としての適切な咬合機能の回復と維持について述べさせていただきたい。また、講演の後半部分では現在歯周組織再生療法に頻用される数々のフラップのデザインを整理しどのような症例にどのように用いるべきかについて解説したい。そして最後に自身の中長期にわたる臨床例を呈示し、経過に対する考察を行いたい。


【主な著書・共著】
・歯科臨床の羅針盤2思い込みの歯科医療からの脱却(共著) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・インターアクション株式会社(2018)
・基礎から臨床がわかる再生歯科 成功率と効果を高めるためのテクニックとバイオロジー(共著)・・・・クインテッセンス出版(2013)
・もう迷わない根分岐部病変 -根分岐部病変の治療はどう進化したのか?(共著)・・・・・・・・・・・・・・ヒョーロンパブリッシャーズ(2013)
・歯界展望別冊「成功する歯周組織再生治療」(共著)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・医歯薬出版(2012)
・インプラント歯科における骨再生誘導法の20年(翻訳) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・クインテッセンス出版(2012)
・POI-EX SYSTEMの臨床(共著)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・クインテッセンス出版(2012)





■ランチョンセミナー

  稲葉 大輔(いなば だいすけ) 先生
  岩手医科大学歯学部 口腔医学講座予防歯科学分野・准教授
     


疾病予防から健康創成へ ─光誘導蛍光法QLFの基礎と臨床─

   近年、医療は疾病の治療から予防へとパラダイム・シフトが進んだが、予防も病気を軸にした概念で、必ずしも健康の増進を保証しない。そこで、予防に加え、健康創成(サルトジェネシスsalutogenesis)という、健康主軸の概念が提唱されている。 健康の原義は「治癒」であり、生命体が変化に対し自発的に回復する体内システムである。ただし、治癒が有効に働くのは、病的変化の初期に限られ、リスク・侵襲が過大であれば治癒は限界となり発症に至る。治癒起動の目安は初期の兆候(sign)で、健康=治癒の支援・増進には兆候検出と治癒力の支援が必須である。ただし、多くの疾病で兆候がほぼ不可視なことが問題となっていた。
   これを解決する手法として、我々はQLF(Quantitative Light-induced Fluorescence;光誘導蛍光法)の原理を応用したデジタル蛍光カメラQLF-Dを2008年に開発した。この装置は、波長 405nmの青紫色可視光の照射により歯から励起される緑色蛍光とバイオフィルム由来の赤色蛍光を分離・検出するもので、歯質とバイオフィルムに関する様々な兆候や症状の可視化・定量が可能である。本報告では、QLFの基礎とその臨床を解説するとともに、口腔領域が疾病の予防から健康創成へと向かう新たなシフトのなかで、QLF等のイメージング技術が果たす意義・役割を考察する。




【主な著書・論文・共著】
・スタンダード衛生・公衆衛生第16版(共著、担当部分:第8章 地域保健と保健行政)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・学建書院(2019)
・Min, J. H., Inaba, D., Kim, B. I.: Evaluation of resin infiltration using quantitative light
 -induced fluorescence technology.・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Photodiagnosis Photodyn Ther., 15:6-10(2016)
・Min, J. H., Inaba, D., Kwon, H. K., Chung, J. H., Kim, B. I.: Evaluation of penetration effect
 of resin infiltrant using opticalcoherence tomography.・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・J Dent, 43(6):720-725(2015)
・Nam, S. H., Jung, H. I., Kang, S. M., Inaba, D., Kwon, H. K., Kim, B. I.: Validity of screening methods
 for periodontitis using salivary hemoglobin level and self-report questionnaires in people with disabilities.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・J Periodontol, 86:536-545(2015)
・唾液 原著第4版 歯と口腔の健康
(翻訳・共著、担当部分:第8章 ミネラル平衡における唾液の役割:う蝕,酸蝕症,歯石形成)・・・・・・・・・・・・・・・・・医歯薬出版(2014)


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