岩手医科大学歯学部同窓会 学術研修会のご案内




ちらしのダウンロード
   
時 間: 9:50ー15:30
   (10:00ー12:00 午前の部、12:15ー13:00 ランチョンセミナー、13:15ー15:15 午後の部)
会 場:岩手県歯科医師会館8020プラザ5階
参加費:(昼食代含む)歯科医師6,000円 学内歯科医師3,000円 コデンタルスタッフ2,000円(歯科医師は除く)




■午前の部

  森川 和政 先生
  岩手医科大学歯学部 口腔保健育成学講座 小児歯科学・障害者歯科学分野 教授
  2004年
2008年

2013年
2017年
九州歯科大学歯学部 卒業
九州歯科大学大学院 歯学研究科(口腔機能発達学)修了
九州歯科大学 口腔機能発達学 助教
九州歯科大学 口腔機能発達学 病院講師
岩手医科大学 小児歯科学・障害者歯科学分野 教授


歯科治療を必要としている子どもたちのために

・歯科治療が苦手な子どもたちへの対応
・自閉スペクトラム症患児へのアプローチ例
・小児在宅歯科診療と巡回小児歯科診療


   日常臨床において歯科医院への来院や受診を嫌がる子どもたちをよく見かけます。その原因として、患児が低年齢であること、過去の歯科治療で恐怖経験があること、からだや心の発達の遅れがあることなどが考えられます。私は、そのような歯科治療が苦手な子どもたちに対して、その患児の歯科治療に対する受け入れ状態から、治療方法を行動療法的アプローチと薬理学的アプローチに分類しております。行動療法的アプローチでは行動変容法や構造化プログラムを応用し、薬理学的アプローチでは受容が可能であるならば笑気吸入鎮静法で、受容が困難で治療時間が短い場合は静脈内鎮静法で、治療時間が長い場合には全身麻酔法で、また選択した方法でうまくいかない場合には上位のアプローチへ変更するように、初診時において保護者・患児に情報を提供しております。特に、自閉スペクトラム症患者(児)の歯科診療での行動調整においては写真や絵カードを用いた視覚支援ツールが用いられており、またTSD法や正の強化因子を用いたオペラント技法を組み合わせることにより効果的な行動調整ツールとなることが知られています。その他にも自閉スペクトラム症患者(児)の齲蝕の罹患状況や有用な歯科保健指導、長期的な歯科保健管理においても口腔の清掃状況、歯周炎、齲蝕の発生それぞれ着目した報告が行われております。
   また近年、小児医療の発展により多くの低出生体重児や基礎疾患を有する新生児が救命され、重症児が在宅生活を送るようになってきており、今後も増加することが予想されています。在宅療養中の重症心身障害児は口腔疾患があっても歯科医院を受診できない場合が多く、小児の訪問歯科診療のニーズは想像以上に多いと考えられます。しかしながら多くの障害児、有病児のほとんどが口腔ケアや摂食嚥下機能に関する医療を必要としているにも関わらず、歯科的支援に繋がっていないと考えられます。
   今回、『歯科治療を必要としている子どもたちのために』と題しまして、「行動療法的アプローチと薬理学的アプローチ、それぞれの行動調整法」、「自閉スペクトラム症と診断された患児に対して小学校の養護教諭と連携し継続的な口腔衛生管理を行った症例」、および「小児在宅歯科診療と巡回小児歯科診療」についてご紹介させて頂きたいと考えております。

【主な著書・論文(共著)】
・Ameloblastin and enamelin prevent osteoclast formation by suppressing RANKL expression via MAPK signaling pathway.
 .......................................................................................................................... Biochem Biophys Res Commun: 485(2017)
・口唇閉鎖力と口腔機能の関連の検討 ............................................................................................................ 小児歯誌: 55(2017)
・新臨床研修歯科医ハンドブック「小児に対する口腔衛生指導」 .................................................................................. 医歯薬出版(2016)
・小児歯科ベーシックテキスト「頭蓋の発育」 ............................................................................................................ 永末書店(2016)
・Comparative clinical study evaluating lip-closure forces in association withtongue pressure in children.
 ......................................................................................................................................................... Ped Dent J: 25(2015)






■午後の部

  岸 光男 先生
  岩手医科大学歯学部 口腔医学講座 予防歯科学分野 教授
  1986年
1991年
1991年
1997年
1998年
2007年
2015年
東京医科歯科大学歯学部卒業
東京医科歯科大学大学院 歯学研究科修了(予防歯科学専攻)博士(歯学)
岸歯科医院副院長
岩手医科大学歯学部 予防歯科学講座 助手
岩手医科大学歯学部 予防歯科学講座 講師
岩手医科大学歯学部 口腔保健学講座予防歯科学分野 准教授
岩手医科大学歯学部 口腔医学講座予防歯科学分野 教授


口臭を科学する ~ 微生物学的研究とアウトカム研究 ~

・口臭研究の背景
・口臭臨床で感じた2つの疑問
・口臭で歯周病リスクは測れるか
・口臭を訴える患者のアウトカムとは
・まとめと展望


   私が口臭臨床を始めた頃、口臭の測定に半導体ガスセンサーやガスクロマトグラフィが用いられるようになり、いかに精度高く口臭の揮発性硫黄化合物を測定するかが研究の主流となっていました。また、微生物学の領域ではPCR法に代表される分子生物学的手法によってヒトサンプル中の細菌の同定や定量が高精度かつ簡便に行えるようになりつつあり、口臭の原因となる細菌を同定する試みも始まっていました。一方、以前から、主観的に口臭があると訴えるヒトの多くで、他覚的な口臭がない者がおり、そのような人たちに対しては、精神医学を参考にしたアプローチが試みられていました。このような中、私は口臭に関して2つのことに関心を持っていました。1つは、口臭を測定することで歯周病のリスクを推定できないか、ということ。もう1つは心因性の口臭において、治療効果をどう評価すればよいかということです。前者については、舌苔中の歯周病性細菌を同定することから始めました。当時、舌苔と口臭の関連は示されていたものの、歯周組織から離れた舌の表面に歯周病原性細菌がいるとは考えられていませんでした。ところが実際にPCR法に供してみると、歯周病のない若者の舌苔中に歯周病原性細菌が少なからぬ割合で存在し、歯周病原性細菌が存在する舌苔が多く付着しているほど口臭が強いという関連が認められました。その後、高齢者では歯が喪失すると舌背上の歯周病原性細菌の定着頻度が極めて減少すること、歯周ポケットが存在する者では口臭中のメチルメルカプタン濃度が高いことが明らかになりました。これらのことから、舌苔と歯垢では細菌の供受があると考え、歯周病発症前の若者の口臭を測定し、red complex菌種の歯垢への定着を高い確率で予測できることを示しました。一方、心因性口臭の評価には患者立脚型アウトカム研究を適用してみました。患者立脚型アウトカムの代表は健康関連QOLで、1990年代の終わりにはそれを評価する信頼性の高い尺度(アンケート)が登場していましたが、歯科領域へは適用されていませんでした。その結果、口臭を訴える者はQOLの下位尺度のうち、社会生活機能が低く、口臭を訴えなくなるとそれが有意に上昇していることがわかり、それを口臭診療のアウトカムとして利用しています。以上のような研究成果をご紹介することで、皆さんの日常診療に少しでも役立てばと思います。

【主な著書・論文(共著)】
・Oral health-related quality of life and related factors among residents in a disaster area of the Great East Japan Earthquake and giant tsunami.
 ................................................................................................................................. Health Qual Life Outcomes: 23(2015)
・Prediction of periodontopathic bacteria in dental plaque of periodontal healthy subjects by measurement of volatile sulfur compounds in mouth air.
 .................................................................................................................................................... Arch Oral Biol: 58(2013)
・Relationship between oral status and prevalence of periodontopathic bacteria on tongues of elderly individuals.
 .................................................................................................................................................. J Med Microbiol: 59(2010)
・Relationship between the SF-36 questionnaire and patient's satisfaction following halitosis therapy.
 ............................................................................................................................................... Oral Dis: 11 suppl. 1(2005)
・Oral malodor and periodontopathic microorganisms in togue coat of periodontally healthy subjects.
 ............................................................................................................................................. Dentistry in Japan: 38(2002)






■ランチョンセミナー

  熊谷 章子 先生
  岩手医科大学 法科学講座 法歯学・災害口腔医学分野 准教授
  1994年
1996年
2007年
2008年
2013年
2015年
2016年
2017年
岩手医科大学歯学部卒業[24期生]
慶應義塾大学病院 歯科口腔外科学教室 助手
岩手医科大学大学院 医学研究科修了(法医学専攻)博士(医学)
岩手医科大学歯学部 口腔外科学第二講座 助教
岩手医科大学 法医学講座 兼担講師
岩手医科大学歯学部 口腔顎顔面再建学講座 特任講師
ルーヴァンカトリック大学(法歯学マスタープログラム) 終了
岩手医科大学 法科学講座 法歯学・災害口腔医学分野 准教授


災害医学における歯科医師の立場 ~ 有事の際、共に活動するために ~

・東日本大震災の歯科的個人識別に関する調査報告
・日本の法歯学教育の現状
・日本と世界の災害犠牲者に対する個人識別の比較
・歯科医師としての災害への備え
・今後の日本の法歯学・災害口腔医学について


   1985年に発生した日本航空機墜落事故をきっかけに、法歯学者のみならず、一般歯科医師も犠牲者の歯科的個人識別に従事できるようにと、各都道府県歯科医師会に警察協力歯科医が組織され始めた。そして2011年の東日本大震災をきっかけに、さらに日本の法歯学・災害医学への関心は高まり、大規模災害発生時には、法歯学者・警察協力歯科医のみならず、歯科医師すべてが適切で様々な活動に従事できるように、全国各地で研修や訓練が盛んに行われるようになった。世界各国でテロリズムや自然災害が頻発する今、日本を含め世界中で災害発生時の歯科医師としての立場を確立し、その責務を果たすために、多くの法歯学者をはじめとした歯科医師が奮闘している。特に災害犠牲者に対する歯科医師の立場と責務は、日航機墜落事故が発生した30年前と比べると、時代と共に激変していると言っても過言ではない。しかし保守的な日本は、残念ながら世界の法医学・法歯学事情とは掛け離れ、国際基準となっている個人識別法が未だに取り入れられていないのが現状である。岩手県の発表によると、県内の訪日観光客は増加傾向にあり、さらに2019年のラグビーワールドカップは、釜石の鵜住居に建設されるスタジアムでも開催される。有事の際には、世界に恥じることのない対応ができるように、日本も世界水準に追いつかなければいけない時期なのである。東日本大震災被災県である岩手は、全国のどこよりも災害時対応を発展させるべきと考える。今回の講演では、改めて東日本大震災を振り返り、今後起こるであろう大規模災害への歯科医師としての備えを確認し、現在そして未来の法歯学・災害口腔医学について考えることができるものとしたい。

【主な著書・論文(共著)】
・他殺事例の多数咬傷鑑定 ......................................................................................................................... 法医病理: 23(2017)
・3.11 Identity 身元確認作業に従事した歯科医師の声を未来へ ............................................................................ ブックウェイ(2016)
・東日本大震災における身元判明に至らない死体に関する検討 ........................................................... 神奈川歯学50巻記念特別号(2015)
・Concentrations of trace element in human dentin by sex and age.  ............................................ Forensic Sci Int: 129(2012)
・Analysis of age-related carbonylation of human vitreous humor proteins as a tool for forensic diagnosis.
  ....................................................................................................................................................... J Legal Med: 9(2007)




>>トップページへ