過去の学術研修会ー第36回ー

第36回学術研修会講演会事後抄録


講師:宮崎 真至先生
(日本大学歯学部
 保存学教室
 修復学講座教授)

接着性レジンが変える審美修復
 ー患者に評価されるコンポジットレジンの修復の実際ー


平成21年11月8日、岩手県歯科医師会館8020プラザにおいて学術講演会が開催されました。講師には宮崎真至先生(日本大学歯学部保存学教室修復学講座教授)を御招きし「接着性レジンが変える審美修復-患者に評価されるコンポジットレジン修復の実際-」というタイトルで講演を行っていただきました。

豊富な知識と臨床に裏づけされたお話に、雑談を織り交ぜながらの講演は午前午後と長時間にもかかわらず、あっという間で、大変有意義なものでした。当日の講演内容を簡単ながら、以下にまとめさせていただきます。

・予防拡大は当時、接着がなかったため、あのような形になった。
・間接修復の寿命は報告されている研究では約10年である。
・寿命を長くするために、できるだけ修復物は小さくするべきである。
・レジンならアンダーカットがあっても大丈夫で、フリーエナメルも残せるので小さくできる。

・研磨でホワイトポイントは使用をすすめない。
 研磨にはフィニッシングカーバイトをすすめる。
・優れたセルフエッチングシステムは日本製である。
・ワンステップは2ステップより接着強度が低いと以前は言われていたが、
 今ではほとんど変わらない接着強度がある。
・トクソー ボンドフォースを用いたデモンストレーション

・レジンの選択について
 光沢感がとても重要
 光沢が出ない場合はレジンが悪いか研磨が悪い
 球状フィラーを持ったレジンは光沢が出る。
 フィニッシングカーバイトとコンポマスターを使用。
 硬化前後の色調変化に注意する。
・水酸化カルシウムはボンディング効果を減少させるので使わない。
・シェードテイキングは難しい。
・明度→彩度→色相

・臼歯部のCR充填デモンストレーション
 ボンド層の上に低粘度レジンをおくとボンド層の薄い部分をカバーできる。
 ドロップコーンテクニック。
 下顎のII級窩洞は10分間で充填可能。
・II級窩洞のCR充填デモンストレーション
 マトリックスキットを使用し、I級窩洞化する。
 口蓋側から咬頭傾斜に沿わせて斜めに盛る
 ステインの入れる方法。

・エステライトプロは14色のみだが、組み合わせで対応できる。
・レイヤリング成功のポイント
 1.明度をコントロール
 2.色調はA系統を使用する
 3.充填物の色はオペークペーストで表現
 4.レイヤリングの移行性に注意
 5.歯は感想すると白くなる
 6.光と影のコントロール
・ホワイトニング後2週間は接着強度が落ちるので、CR充填をすべきではない。

・上顎前歯破折を想定したデモンストレーション
・各種器具の説明等

今回の講演はデモンストレーションが多く、材料による細かな違いなど、明日からの臨床にすぐに役立つ内容でありました。材料もテクニックも常に進歩していることを実感する講演でした。参加された先生方はとても有意義な一日になったのではないでしょうか。

(学術研修部会 21期 古町瑞郎)

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講師:三浦 廣行先生
(岩手医大歯学部
 歯科矯正学講座教授)

反対咬合の早期初期治療について

1)岩手医科大学歯科医療センター矯正歯科における患者さんの動向
 ・新来患者の年齢別分布について
  昭和60年には小学生の患者さんの割合が60%近かったが、
  平成18年には30%程度まで減少した。
  中学生、高校生の割合はあまり変化していない。
  昭和60年には成人の患者さんの割合が10%程度だったが、
  平成18年には40%程度まで増加した。
  小学生の患者さんが減って成人の患者さんが増えた。

 ・不正咬合の種類別頻度について
  昔は東北、北海道は反対咬合が多かった。
  昭和60年には40%が反対咬合だったが、平成18年には20%程度まで減少した。
  逆に上顎前突は昭和60年には5%程度だったのに平成12年以降20%程度まで増加している。
 ・不正咬合の要因別頻度について
  平成3年には20%だった骨格型が平成18年には50%まで増加した。
  大学にくる患者さんは難しい症例が多くなっている。

 ○最近の患者さんの動向と特徴(まとめ)
 ・成人の患者さんの比率が高くなっている。
 ・上顎前突の比率が高くなっている。
 ・骨格型要因の比率が高くなっている。
  骨格型の不正要因は放置すると症状が増悪化する傾向があるため、
  早期からの治療が効果的である。

2)反対咬合の治療について
  a)顎整形力の適応について
    チンキャップ、前方牽引、急速拡大装置などを適用した症例の変化について
   ・顎整形的効果は上顎骨にも下顎骨にも同様に認められる。
   ・ところが、装置の適用を中止すると、成長促進を試みた場合は後戻り様の変化が起こり、
    成長抑制を試みた場合はキャッチアップ様の変化が起こる。
   ・前歯部の被蓋を改善し、正常な咬合関係を得ることで、下顎骨の成長が上顎骨の成長を
    促す効果がある。
   ・上下の歯が咬合することで下顎骨の成長を抑制する効果がある。
    早期に被蓋を改善し、上下の歯がきちんと咬合する事が顎骨の成長の調和に重要である。
   ・ただし、早期治療によって上下顎骨の成長をコントロールできるとは限らず、場合によっ
    ては外科的治療を併用することもある。
  b)反対咬合における早期治療について
   ・早期治療は保護者の負担が大きく、う蝕や歯肉炎のリスクもあるが、治療効果が高いので
    あれば行ったほうがいい。

3)ムーシールドの効果
  a)適応と目的、使用方法
    早期の初期治療に用いられる、反対咬合用筋機能訓練装置である。
    舌の挙上、下顎の位置を変える、口唇を閉鎖する効果がある。
    乳歯列期(3歳から4歳)から適応。
    就寝中に装着し1年間継続する。(1年というは目安)
  b)ムーシールドの効果
   ・口蓋の形態に変化が認められた。
   ・筋電図の変化
    通常、赤ちゃんが母乳を飲むときには顎を前後に動かし側頭筋が優勢である。
    歯が萌出し臼歯部でものを噛むようになると咬筋が優勢になる。
    反対咬合の場合は側頭筋優勢の傾向があるが、ムーシールドを使用すると咬筋が優勢に変
    化する。
   ・舌位の変化も認められた。
  c)ムーシールドの注意
    臼歯部がフリーにならないようにする。
    しっかり使用しているかどうかは上顎部内面が削れているかどうかで確認できる。
    無理強いはしない方がうまくいくことが多い。
    ムーシールドは被蓋改善の装置ではないので変化をよく確認する。
    他の装置との併用も可能である。

(文責 21期 古町瑞郎)


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